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誉田 哲也『マリスアングル』

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マリスアングル作者:誉田哲也光文社Amazon一応シリーズを追ってるつもりでしたが、私の中での前作は「ノーマンズランド」です。つまり「オムニバス」を読んでなかった。ということを前作のタイトルってなんだっけ?と調べて気づいた次第です。 でも調べるま…

米澤 穂信『可燃物』

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可燃物作者:米澤 穂信文藝春秋Amazon群馬県警捜査一課で葛班を率いる葛警部がバッサバッサと事件を解決する短編集です。バッサバッサと、とは書いたものの、捜査の過程は至って地味です。とにかく地道にコツコツと葛と部下たちは足を使って捜査を続け、「確…

古川 日出男『紫式部本人による現代語訳「紫式部日記」』

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紫式部本人による現代語訳「紫式部日記」作者:古川 日出男新潮社Amazon「平家物語」の現代語訳という超絶すばらしい作品を現代に残してくださった古川さんによる「紫式部日記」です。 私はその「紫式部日記」を読んだことがないので、この作品がどれぐらい、…

雫井 脩介『互換性の王子』

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互換性の王子作者:雫井 脩介文藝春秋Amazon 順風満帆な御曹司の前に突如現れ、入れ替わろうとした異母兄。 「奪われたものは、奪い返さなければ」という書かれた帯がついてるもんでサスペンスだろうと思ったし、読み始めてすぐ主人公(弟)が別荘の地下室に…

阿津川 辰海『黄土館の殺人』

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黄土館の殺人 (講談社タイガ)作者:阿津川 辰海講談社Amazonクローズド・サークルとなった館を舞台とする紅蓮館、蒼海館に続くシリーズ作品であることは理解してましたが、このシリーズが「館四重奏」と名付けられていて、「地水火風」の四元素になぞらえて形…

黒川 博行『悪逆』

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悪逆作者:黒川 博行朝日新聞出版Amazon 詐欺や新興宗教で私腹を肥やす悪人たちから財産を奪い殺す連続強盗殺人事件を追う刑事たちを描く警察小説で、そこまではいつもの黒川作品なんだけど、今作の特徴はメインの刑事コンビが即席コンビ(捜査一課の刑事と所…

井上 真偽『ぎんなみ商店街の事件簿』

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ぎんなみ商店街の事件簿 Brother編: Brother編作者:井上 真偽小学館Amazonぎんなみ商店街の事件簿 Sister編: Sister編作者:井上 真偽小学館AmazonBROTHER編(四兄弟)とSISTER編(三姉妹)ともにタイトル通り商店街で起きた3つの事件を推理して解決するんだ…

呉 勝浩『Q』

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Q作者:呉 勝浩小学館Amazon本の感想は自分のための備忘録として書いているので、なるべくあらすじや物語の始まりを書き残しておくようにしているのですが、この作品はそれが書けない。数行でまとめることなどできない。新型コロナウイルスによって世界が混乱…

月村 了衛『半暮刻』

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半暮刻作者:月村 了衛双葉社Amazon児童養護施設で育った翔太は先輩の勧めで「カタラ」という会員制バーの従業員となる。女性を捕まえ言葉巧みに口説き落として風俗で働かせるまでがマニュアル化されたその店のオーナーはカリスマ性を持つ半グレであり、全て…

八重野 統摩『同じ星の下に』

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同じ星の下に作者:八重野 統摩幻冬舎Amazon「いい話」が読みたいなと思って直観で手に取ったはじめましての作家さんです。うん、いい話だった。 両親から虐待を受けている中学生が下校途中に誘拐され、誘拐犯の「渡辺さん」をほんとうの父親なのではと考え、…

湊 かなえ『人間標本』

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人間標本作者:湊 かなえKADOKAWAAmazonこれだけのことを10代の男女で「出来るか?」とは思うものの、幾重にも重なる入れ子のような構成は愉しめたし、美しくも爛れた世界観はPsycho-Passというアニメを思い出した。 途中でわんこが出てくるんですが、このわ…

天童 荒太『ジェンダー・クライム』

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ジェンダー・クライム作者:天童 荒太文藝春秋Amazon人目のない土手で遺体が発見され、体内から「目には目を」というメッセージが見つかる。 という始まりで、被害者の息子はかつて集団レイプ事件を起こした加害者であり、容疑者と目されるのはレイプ被害者の…

中山 七里『絡新婦の糸 警視庁サイバー犯罪対策課』

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絡新婦の糸:警視庁サイバー犯罪対策課作者:中山 七里新潮社AmazonXで多くのフォロワーを集める<市民調査室>なるインフルエンサーがいて、当初は誠実な食レポや宿レポに質問や相談にも真摯にこたえてくれることで注目を集めていたが、やがてフェイクニュー…

乃南 アサ『緊立ち 警視庁捜査共助課』

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緊立ち 警視庁捜査共助課作者:乃南 アサ文藝春秋Amazonタイトルの「緊立ち」とは「緊急立ち回り情報」のことで、指名手配されている人物が「今ここにいる」という情報が入ると捜査員は可能な限り迅速に現場に向かい捜査にあたることになる・・・という物語で…

五十嵐 貴久『鋼の絆 ギンイチ消防士・神谷夏美』

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鋼の絆 ギンイチ消防士・神谷夏美作者:五十嵐貴久祥伝社Amazon確かこのシリーズって「三部作」という話だった気がするけど、帯に「シリーズ最新作」とあるんで続くんですね。前作の「命の砦」でシリーズのレギュラーキャラクター、それも消防士としての主人…

青崎 有吾『地雷グリコ』

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地雷グリコ作者:青崎 有吾KADOKAWAAmazon「グリコ」「神経衰弱」「じゃんけん」「だるまさんがころんだ」そして「ポーカー」と、誰もが知ってる「遊び」をアレンジし、高度な「ゲーム」にした5編の連作集です。この「よくこんなゲームを思いつくな」という感…

石持 浅海『あなたには、殺せません』

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あなたには、殺せません作者:石持 浅海東京創元社Amazon犯罪の発生を未然に防ぐことを目的とし、犯罪を犯すか悩む人たちの相談に乗るNPO法人があって、殺人を考えている人の相談に乗る「一号室」で「担当者」が犯罪予備軍たちの考えであり計画の穴を丁寧に一…

今村 昌弘『でぃすぺる』

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でぃすぺる作者:今村 昌弘文藝春秋Amazonオカルト好きのユースケと学級委員で優等生のサツキと謎の転校生ミナが掲示板係となり壁新聞を作ることになるが、優等生のサツキには目的があった。 その目的とは1年前に殺された従姉妹の死の真相を突き止めることで…

斜線堂 有紀『本の背骨が最後に残る』

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本の背骨が最後に残る (文芸書・小説)作者:斜線堂有紀光文社Amazon私この本が好き!!!。少し前に読んだ「回樹」と同じくタイトル作とそれに繋がる作品を最初と最後に配置し、蠱惑的な特殊設定によって紡がれる5篇を挟む構成で、これまた「回樹」同様、誰か…

秋吉 理香子『無人島ロワイヤル』

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無人島ロワイヤル作者:秋吉 理香子双葉社Amazon常連客たちが「無人島に3つ持っていくとしたら?」という定番の話題で盛り上がっていると、その店(バー)のオーナーが「無人島持ってるよ」と言い出して、じゃあほんとに「3つのアイテムをもって無人島に行こ…

薬丸 岳『最後の祈り』

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最後の祈り作者:薬丸 岳KADOKAWAAmazon 以下、おもいっきり内容に触れてます↓↓ 刑務所で教誨師をする男が主人公で、16歳で祖母を殺しその後二人の女性を殺して死刑囚となった男と対話をする物語なのですが、主人公には目的があるんですよね。復讐という目的…

荒木 あかね『ちぎれた鎖と光の切れ端』

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ちぎれた鎖と光の切れ端作者:荒木 あかね講談社Amazon江戸川乱歩賞受賞後第1作とのことで、つまり刊行されたものとしては2作品目ということになるのでしょうが、この人凄いな!。2か月後に小惑星が衝突し人類が滅亡することが決まっているという所謂「特殊設…

小川 哲『君のクイズ』

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君のクイズ作者:小川 哲朝日新聞出版Amazonなにやら話題の作品のようですが、それについては知らず帯に書かれた伊坂孝太郎さんの「面白すぎ!!こんなに興奮する謎に出会ったのは久しぶりでミステリーとしても最高。小川哲さん、ほんとすごいな。」という推…

斜線堂 有紀『回樹』

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回樹作者:斜線堂 有紀早川書房Amazon著者初のSF作品集とあるんですが、これSFなのか?。 私が斜線堂さんに出会ったのは「楽園とは探偵の不在なり」で、続けて「廃遊園地の殺人」を読んだんですが、それで言うとこの作品集はSFというより特殊設定作品集といっ…

井上 真偽『アリアドネの声』

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アリアドネの声作者:井上 真偽幻冬舎Amazon最新のIT技術の粋を集め建設された都市機能を地下に置き健常者も障がい者も分け隔てなく生活することができる実験的スマートシティを巨大地震が襲い、当日行われていたイベントに参加していた女性が地下5階に一人取…

中村 文則『列』

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列作者:中村 文則講談社Amazon「楽しいことがしたい」でも「楽しみがほしい」でもなく『楽しくあれ』。 満員電車に乗るための列に並びながら読む本に書かれた『楽しくあれ』は刺さるわ・・・・・・。いつでも手に取れる場所に置いておきたい。 私の人生には…

井上 悠宇『不実在探偵の推理』

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不実在探偵の推理作者:井上 悠宇講談社Amazonはじめましての作家さんです。 タイトルの通り探偵が「不実在」であるという、これも「特殊設定ミステリ」に含まれるのだろうか?どうもまだジャンルとしての「特殊設定」を掴めていないのですが、それはさておき…

白井 智之『エレファントヘッド』

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エレファントヘッド作者:白井 智之KADOKAWAAmazon「名探偵のいけにえ」でついにミステリー界の中心に躍り出た感のある白井さんですが、確かに年度を代表するに相応しい作品ではあるものの最大の特徴であり魅力である「グロ」が抑えめで(注:白井作品比)、…

石田 衣良『神の呪われた子 池袋ウエストゲートパークXIX』

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神の呪われた子 池袋ウエストゲートパークXIX作者:石田 衣良文藝春秋Amazonこのシリーズが時事問題をテーマにするスタイルになって、取り上げたネタについて全く知らないことって多分初めてだと思うんだけど、我が家にもずっと前から木の箱に入ったウィスキ…

夕木 春央『十戒』

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十戒作者:夕木 春央講談社Amazonいい意味で「方舟」と同じような作品でした。 タイトルの「十戒」は作中で早々にそれらしき描写があるんだけど、真相が明らかになったあと先にもう一つの意味があることだとか、物語における“犯人”のポジショニングだとか、読…