斜線堂 有紀『本の背骨が最後に残る』

私この本が好き!!!。

少し前に読んだ「回樹」と同じくタイトル作とそれに繋がる作品を最初と最後に配置し、蠱惑的な特殊設定によって紡がれる5篇を挟む構成で、これまた「回樹」同様、誰かに、何かに対する『愛』を描いているわけなんですが、2作を比較して言うなれば「回樹」はポップでこちらはダーク。全編とにかく残酷で残虐でおぞましい物語なのだけど、べらぼうに美しい。

タイトル作とラストの「本は背骨が最初に形成る」は“物語を語る者が「本」と呼ばれ、本1冊につき語る物語はひとつのみ”という世界で、でも稀に「同じ本」、つまり同じ物語を語るはずが差異がでてしまうことがあって、本同士が相対しどちらが「誤植」であるかを決めるという物語なのですが、これがそれぞれ「白雪姫」と「人魚姫」という童話をベースにした『謎解き』として構築されていて、となると青柳碧人さんの昔ばなしや赤ずきんシリーズを想起させられつつもそれとは全く違うアプローチで純粋に謎解きとして楽しめたんだけど、でもやっぱり世界観なんですよ。世界観がとにかく素敵。


『本を焼くのが最上の娯楽であるように、人を焼くことも至上の愉悦であった。』

この最初の一文からもう最高でしょう!。