八重野 統摩『同じ星の下に』

「いい話」が読みたいなと思って直観で手に取ったはじめましての作家さんです。

うん、いい話だった。
両親から虐待を受けている中学生が下校途中に誘拐され、誘拐犯の「渡辺さん」をほんとうの父親なのではと考え、それを願い、でも別れの日(身代金と人質の受け渡しを行う日)がやってきて・・・という物語なので、女子中学生の心情はもちろん胸が痛くなる描写は少なくないんだけど、なぜ「渡辺さん」が誘拐などという犯罪を行ったのか、その「真相」と、そして「その後」まで通して「いい物語」でした。
いやまあ、なんで「そんなこと」が起きてしまったのか、その作話上の「仕掛け」は珍しい苗字だなと思ったこともあって「まじかーw」と笑ってしまったけど。