白井 智之『エレファントヘッド』

「名探偵のいけにえ」でついにミステリー界の中心に躍り出た感のある白井さんですが、確かに年度を代表するに相応しい作品ではあるものの最大の特徴であり魅力である「グロ」が抑えめで(注:白井作品比)、そこに私はいくばくかの寂しさを覚えていたりするわけなんですが、今作は久々にグロ多め。
なのでもうそれだけで「ヨシッ!」とガッツポーズなんだけど、ミステリーとしてもトリックでありロジックがキレッキレのエッグエグ!。

物語としても主人公の変態性(欲)であり残虐性でありを演出するための脇役としての存在、だけどなんでこんなに狂った設定なんだ?と思う(引っかかりはすれどもそれだけの存在としか思わなかった)「ペペ子」の使い方が素晴らしく、全体の四分の三あたりまではそれこそ脳みそが爆発するかと思ったほどに混乱していたものが、ラスト四分の一は陸上の1万メートルでラスト1周の猛ダッシュ勝負!ってな疾走感だった。これほどゴチャゴチャグログロしてるというのに突き抜ける読後感といったら!。いやまあ何言ってんだか自分でもわからんけどw。

こりゃあ今年も賞レースの話題は白井さんが独占しそうな感じだわ。
帯にあるように内容を語ることなく「とにかく読め!!」の一言あるのみ!。


そうそう、作中で主人公の娘がやってる音楽ユニットの曲が連ドラの主題歌に決まったというくだりがあるんですが、そのドラマが「『殺人メシ』というタイトルで、一家皆殺しが十八番のシリアルキラーが殺人現場の冷蔵庫で見つけた有り合わせの食材からあっと驚く手料理を作り上げる新感覚グルメストーリー」というもので、それ超見たい!!w。
プライム帯なら(いや無理だけどw)長谷川博己堺雅人で、11時台なら松田翔太か町田啓太で、ド深夜なら犬飼貴丈か塩野瑛久で、テレ東なら本郷奏多濱田岳でどうだっ!(想像だけでテンション上がるw)。