誉田 哲也『マリスアングル』

一応シリーズを追ってるつもりでしたが、私の中での前作は「ノーマンズランド」です。つまり「オムニバス」を読んでなかった。ということを前作のタイトルってなんだっけ?と調べて気づいた次第です。
でも調べるまで1作飛ばしてることに気づかなかったぐらいだし(未読作について作中で言及されてるのだとしたら、そのことに気づかなかった)、とりあえず大丈夫でした。

というか今作の展開に驚きすぎて。
「ノーマンズランド」の読後シリーズとしてのステージが変わりそうだと思った記憶があるんだけど、魚住久江が姫川玲子の同僚となるとはさすがに予想できなかったわ。そうくるかと。
だって姫川の同僚ってことはつまり魚住さんが本庁の捜査一課に転属するってことなわけで、地続きのシリーズだから特捜で一緒になる(という形でコラボする)ことはあってもこの二人がガチの同僚になるとはまったくもって予想外。
って、その布石みたいなものが「オムニバス」で描かれていたりするのだろうか(追って読みます)。

姫川シリーズ最新刊という位置づけですが、事実上は魚住とW主人公って感じかな。
両者の視点が入れ替わり、その時々で交差しながら描かれるんだけど、姫川玲子を「同性」として観察する視点は結構新鮮。しかも姫川に同性ならではのライバル心を抱いたりはしない魚住の視点ですからこれまでとはまた違う姫川の一面が見えるわけで、その点やっぱり「姫川シリーズ」なんだな。
ていうか魚住に佐田さんを重ねるのは目から鱗。今泉が自分に代わる姫川のストッパーになってくれと魚住さんを口説き落としたのはそういうことかと。

しかしこれ魚住久江シリーズはどうなるんだろう?。姫川シリーズと並行して魚住シリーズも続くのであれば、その書き分けがどんな感じになるのかはとても興味深いし、なんなら赤(姫川)と青(魚住)的な感じで同じ事件をそれぞれのシリーズとして描いてくれたりしちゃったらテンション爆上がる。