誉田 哲也『ノーマンズランド』

ノーマンズランド

ノーマンズランド

姫川玲子シリーズ。
今回は姫川が追う女子大生殺人事件が北朝鮮による女子高生拉致事件に繋がるという非常にアクロバティックな展開をみせるのですが、拉致問題はさすがにデリケートが過ぎるんで小説であっても面白がれるようなものではなく、そして小説であってもやっぱりグレーな扱い、結末にせざるをえなくて、このシリーズの魅力であるカタルシスは皆無。ていうか今回の菊田は嫁に対する言い訳を自問自答するぐらいしか出番がないのですこぶる菊田不足。
でも今回は直接姫川と絡むことはないもののガンテツとW主演という感じでして、ガンテツの背景がだいぶ明らかになり今後への種まきがなされてるし(ノリの今後が心配・・・)、またもや仲間を殉職という形で失った姫川が菊田そっちのけで日下との距離を縮め(「あんまり菊田に心配かけるな」と言いつつ自分が一番心配してる日下とかー!)、そして新たに登場したイケメン検事とイイ感じになったりするんでシリーズとしてはこの作品を境にひとつステージがあがるような、そんな位置づけになるんじゃないかな。