今村 昌弘『でぃすぺる』

オカルト好きのユースケと学級委員で優等生のサツキと謎の転校生ミナが掲示板係となり壁新聞を作ることになるが、優等生のサツキには目的があった。
その目的とは1年前に殺された従姉妹の死の真相を突き止めることで、そのためにユースケのオカルト知識を利用しようとしていたのだった。
という始まりで、サツキの従兄弟・マリ姉が残した「七不思議の「謎」」を解くことで、遺体発見現場には雪が積もり周囲には第一発見者以外の足跡がなかったという「マリ姉の死」に込められた意図が明らかになる・・・という物語なんだけど、たぶん読んだ人全員が突っ込んだと思うんだけどわたしも突っ込むわ。

小学生三人組が謎を解く者として優秀すぎんだろ!!。

推理にあたってルールを決めて、サツキの現実的な視点による推理とユースケのオカルト視点による推理をぶつけあい、ルールをベースにミナがそれをジャッジするというスタイルで七不思議をひとつひとつ解明していくんだけど、わざとというかあえてそうしてるのでしょうが言葉のチョイスが子供のソレじゃなさすぎる。
事あるごとに「優秀」だと言及されるサツキはともかく、特に賢くもない男子小学生がこれほど筋道立てて推理を他人に聞かせることなどできるはずがないし、昨日今日ミステリー小説を読み始めたミナが「ノックスの十戒」だの「ヴァンダインの二十則」だのを語りだしたのには笑ってしまった。

小学生だけに現場に向かう手段ひとつとってもままならず「子供」であることが捜査活動の障害になるだけでなく、学校生活のトラブルも描かれるんで行動としては「小学生」の枠内に収まってるけど、これほどの「推理」をさせるならせめて中学生じゃダメだったんだろうか。ダメだった理由はやっぱスマホかな。