方丈 貴恵『時空旅行者の砂時計』

以前からお名前は目にするものの特に理由があるわけじゃないんだけどなぜか今まで作品を手にすることがなかったんですが、そろそろ読まないと乗り遅れるぞと突如思いたち(なにに乗り遅れるのかはわからんけどもw)、はじめましてと相成りました。

あらすじをひとことで説明すると、主人公が「竜泉家の呪い」により命を落とそうとしてる妻を救うため、過去にタイムトラベルし、殺人と土砂崩れにより一族のほとんどが死んだ「死野の惨劇」をどうにかすべく奮闘する物語なんですが、普通タイムトラベルものって自分が「時空旅行者」であることを隠す(隠すことで派生するモロモロを読む)ものだと思うのですが、この作品は過去に飛んで早々関係者の一人にそうであることがバレます。さらに連続殺人が続くなかで関係者の大半に主人公の素性やら目的やらなにもかもが時空旅行を持ち掛けた謎の存在によって「語られ」ます。
え?それバラしちゃっていいんだ??と驚いたけど、「犯人」側もタイムトラベル能力があるどころかタイムトラベルシステム自体が「殺意」を持ってるとなるとそれは告知しなくちゃなりませんよね。

というわけで、感想を一言でいうと「わからん!!」。
「読者への挑戦」を挟んで、先に語られる推理(犯人の誘導によるものなので正解ではない)も時空旅行者である主人公が語る推理も、その証明や証拠となる現象・言動はすべて記憶にあるんですよ。すぐにそういやそんな描写があったなと思い当たるんで、謎を解くための材料は全て提示されていることは間違いないし、そのひとつひとつは理解できるんだけど、それがすべて繋がってひとつの推理となると「わからん」となってしまう。というか結構早い段階で推理しながら読むことを諦めました。読みにくいというわけではないんだけど、思考力を働かせる気にならなかったんだよな。
それは私の体調に理由があるかもしれないので、この作品はこのあとシリーズ化されているようなのでまずは次の作品を読む。合う合わないの判断はそれから。