竹吉 優輔 『レミングスの夏』

レミングスの夏

レミングスの夏

少年少女が中学二年の夏、仲間の復讐を果たし新天地を目指す物語です。読みながら言ってみれば僕らの七日間戦争の現代版かなーなんて思ったんだけど、僕ら〜がとにかく前しか見てない疾走感溢れる物語であるのに対し、これはとことん後ろ向きで刹那的。それを単純に時代を反映してるとか言うつもりは毛頭ないけど、でもそういう部分があることは否定できないかな。
で、これ映像化しよう!!。今すぐしよう!!。リーダーであるナギ以下子供たちはそれぞれテンプレキャラなんだけど、でも単なるテンプレキャラじゃない、テンプレでありながら“そういう人間”であることに意味があり、その性格であり性質がちゃんと“計画”に必要なものとして組み込まれてるんですよね。それは当然そのつもりで作者がキャラクターを作り物語を紡いでいるからなんだけど、でもナギが何年もかけて練り上げた計画だから、仲間のことをしっかり見てるナギが立てた計画だからだと、そう思えるだけの説得力がある。決してご都合キャラであり展開ではないのです。そんな子供たちと関わる大人たちも悩み苦しんでて、いい大人でも悪い大人でもない、一人の人間として存在してるんですよね。とにかく(主要)登場人物がみんな必死で胸が苦しくなるほどに愚直。その愚直さがとても魅力的なのです。
ナギが立てた“本当の計画”。それが明らかになった瞬間の・・・なんだろうなぁ?愚かで哀れで痛くて切ない感じ・・・には胸が詰まりました。なんでそこまでしなくちゃならないんだろうって。なんでそんなにしっかりした計画立ててんだよって。
そんなナギが戻ってきたラストシーンは映像として浮かんでしまって泣かずにはいられませんでした。ヒカル不器用イイ奴すぎんだろ!。
もう一度言います。これ映像化しよう!!ナギは本郷奏多くんで!!モトオは中川大志くんで!!(年齢合わないけど奏多くんならできるって!)。