相場 英雄『共震』

共震

共震

トリック含め主軸である“事件”そのものはこう言ってはなんですがどうでもよくって(容疑者あからさまだし、トリックも●●●●なんてその状況下を考えると不自然とまではいかずとも違和感を覚えたことは確かなんで、だから予想の範囲内だったし)、事件を追う記者はシリーズキャラのようですがそのシリーズは未読なんでそういうモノとして描かれている作中での扱われ方(慕われ方)が私にはピンとこないし、もう一方の警察サイドも数名の刑事が登場するものの誰が誰だか(誰が記者とどういう関係性なのか)なかなか把握できず、だからミステリーとしてはそんなに評価は出来ません。
でも合間に挟まれる震災直後の様子、震災から2年たった現在の様子、それらを淡々と・・・と言えばいいのかなぁ?あえて冷静に表現しようという意思すら感じさせるその描写はだからこそ想像させる(でも想像しきれない)静かな迫力に満ちていて、云わばモブ的な登場人物たちが発する言葉の重み、笑うことやお礼と言うことの意味、それらに対しては作中人物の気持ち同様ほんと「(返すべき)言葉にならない」感じで、・・・・・・うん、言葉にならない。