
- 作者: 中山七里
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2014/09/05
- メディア: 単行本
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そんな中、この作品は震災、もっといってしまえば被災した福島第一原子力発電所そのものを舞台として描きながら、しっかりとしたエンターテイメント作品になっている。物語の始まりも震災直後でなければ起こりえなかったシチュエーションだし、殺人を犯しながら何らかの目的のために逃亡する男もそれを追う刑事も、どちらにもしっかり震災と原発を必要不可欠な要素として背負わせていて、でも半ノンフィクションにはならずちゃんと小説として楽しめるものになっている。護りたい人のために命をかける若者と、それを助けるカッコいい公僕が日本を救う物語なんてものをこうまでリアルに想像できてしまうのは震災があったから。それがいいことなのかそうではないのか分からないし、もしかしたら楽しんでしまうのはまだ早いのかもしれません。でも面白かった。