恩田 陸『愚かな薔薇』

書店で萩尾望都さんによる書下ろし期間限定特別カバー(ぜひともググって!)が目に入った瞬間思わず「ほわあっ!」という声が漏れました。
そして『美しくもおぞましい吸血鬼SF』の文字にこれは間違いなく大当たりの恩田作品に違いない!!!と、1000%の確信でもってウッキウキで読み始めました。




磐座という特殊で特別な場所で行われるキャンプに参加することになった14歳の少女
事情をほとんど知らない少女は着いて早々激しい吐き気に襲われ大量に吐血してしまう
自分の身体の変化に怯えつつも少女は「変質体」になることがキャンプに参加する目的であることを理解するが、変質の過程で「血切り」と呼ばれる吸血行動が必要だと知り激しく拒絶する
キャンプ生たちが次々と「血切り」を経験するなか、惨殺された動物の死体が発見され、人々は「木霊」が出現したことを知る
そしてこの地で死んだ母親と行方不明の父親についての真相を知ったことにより少女の意識は変化することになり・・・



と、↑これを読むとさぞかし素敵な吸血鬼小説だと思えるじゃないですか。途中までは確かにそうなんですよ。そこに少年少女の複雑な恋愛感情なんかもあったりするんで、雰囲気は抜群なんですよ。

でも途中でいきなり「ダークエネルギー」とか「暗黒エネルギー」とか「星間移動」なるワードが出てきてぶちこわし。
「星間移動」は当初からそれっぽい話がでてたんでいいとしても、暗黒エネルギーってなんやねん!と。

そこで思い出す。表紙には「吸血鬼SF」と書かれていたことを。私はこの『SF』のことをすっかり忘れていたのでした。

そこからはもう吸血(鬼)要素などどうでもよくなりますからね。意識飛ばして宇宙に行っちゃいますから。
そんで死んだと思ってた両親が意識の実体化として現れて、なんやかんや説明されて少女は自分の進むべき道を自覚してフワッと終わるという、終わってみればいつもの感じでした。
書店でカバー見た瞬間がピークでした・・・。