『青きヴァンパイアの悩み』最終話

コロナ禍で辛いのは人間だけではない、ヴァンパイアだって大変なんだ・・・というところから始まったこのドラマはここまで一貫して「考え(意識)を改める」ことを描いてきたわけですが、同性愛者である未亜が「生娘(処女)であるか否か」を決めるのは他人(男)じゃないし、ましてや処女かどうかを出血の有無で判断するとか愚の骨頂だし、そもそも処女信仰とか男のエゴだという実に生々しい訴えを挟み、最後は(老いているからではなくそもそもの人間性の問題であることのほうが大きいように思うので、正直この言葉もどうなんだろう?と思うところはあるのですが)「老害」「女性差別ジェンダー観)」というタイムリーであり未だそんなレベルの価値観なのか・・・というところに着地したかー。

(日本の)ヴァンパイアが『男だけ』だなんて最終回にして初めて知った設定だし、やっぱりヴァンパイアハンターだった未亜ですら「吸血鬼に血を吸われたらヴァンパイアになる」と思ってたし実際海外では女性のヴァンパイアもいるというのに、オソノさんがどれだけヴァンパイアにしてほしいと訴えても「女だから」ヴァンパイアにはなれない・・・ってのはさすがに強引かなーと思わなくはないけど(血を吸った相手を吸血鬼にするか否かは吸血鬼が決める(ことができる)ってことならば、蒼と葵が吸血鬼になった(させられた?)理由が知りたいところだし)、でも現実に日本は未だに「女性差別」が問題になってるわけで、最後まで「今」を描くドラマだった。
女であるオソノさんがヴァンパイアになるためにヴァンパイアハンターの未亜がどんな「協力」をするのか、できるのか、ってところはわかんないんだけどさ、後日譚として麻美さんと未亜の「その後」はハッキリと語られているのに(麻美さんと未亜との出会いがこういう縁となって繋がったってのはイイよね)、オソノさんがヴァンパイアになるために状況が少しずつ変わっている・・・かもしれないという曖昧な言い方(しかできない)であるところまで、実に「今」のドラマだったなと。

って、オソノさん90歳でもびっくりなのにまさかまさかの平安生まれの900歳ってマジかよwww。このドラマで最も驚いた瞬間でしたわw。

追放問題も「なんとなく察しはつくけど」ってなことで、この人がいれば「人の血を吸わない(奪わない)ヴァンパイアとして生きていく」という蒼と葵はきっと大丈夫だろうと思えるし、もっと言えば“そういうヴァンパイアがいてもいい”というふうに、ヴァンパイア界の価値観も変わるんじゃないかなと、変わっていくといいなと思える気持ちのいい最終回でした。

コロナ禍のヴァンパイアという設定こそ突飛ではあったけど、多様な価値観であり生き方を尊重する(それがニューノーマルである)というストレートなテーマに真っ直ぐ挑む良作なので、もっと多くの人に届いて(届けて)ほしい。