『仮面ライダービルド』第8話「メモリーが語りはじめる」

ああ、東都と北都との行き来はちゃんと国境を越えるゲート(検問所)があって、必要書類を用意してパスポートとともに提出し問題がなければ通れるのか。戦兎たちは指名手配されているから抜け穴を通るしかなくて(検問所を設けてるのが東都⇔北都だけとは考えにくいから、東都⇔西都も同様なものの万丈を連れてるから密航船を使ったということか)、北都からきた脱北者家族は書類が用意できなかったかなんかで正規の手段で東都に来ることができず、やむなく抜け穴を通ってきたと。それはわかったけど、検問所通るのに書類と運転者の身分確認をするだけでトランク開けて中身を確認しないとかそんなんでいいのか?これが可能なら抜け穴なんて通らずとも密航船のように運び屋ビジネスが成り立ちそうなもんだけど。西都に行ったときに普通に通話可能だったし、番組開始当初に抱かされた「断絶状態」というイメージがだいぶ薄らいだけど、それが(作劇上)いいのかわるいのか分からんな。
ていうか前回スマッシュにされてしまった子供はどうなったのだろうか。子供だから影響が残ってしまったってなことを言ってたし万丈もまるで死にかけの相手に対するようなこと言ってたものの葛城母の家で暢気にお茶飲んでたぐらいだから大事には至らずに済んだということだと思うけど、だったら台詞でいいからそれを説明すべきじゃないかなぁ。子供番組で子供を怪人化させておきながらスルーはよくないと思う。
それから、いくら自分は殺してないとはいえ「息子を殺された母親」が「息子のために毎日作ってる卵焼き」を出してくれたというのにああも激しく甘い(不味い)と文句を言う万丈もどうにかならなかったかなぁ。『卵焼き食べて思わず涙を流す戦兎』のための前フリだとしても、例えば口に入れた瞬間「ウッ・・・」となるも必死で堪えて飲みこんであとはお前食べろよと戦兎に押しやったって戦兎の涙にはさして影響ないと思うの。
予告で卵焼きを食べて泣いてるらしき戦兎のカットがあったんで、これはやっぱり戦兎の脳は葛城巧のもので母親の作る卵焼きの味に反応してのことかと思ったけど(だからタイトルが「メモリ」ではなく「メモリー」なのだと)、もしそういうことなんだとしても今回の時点では卵焼きで泣く戦兎を葛城母が「信用」するという意味の演出だったわけだよね?。葛城母も息子が好きな卵焼きは甘すぎるとわかってるようだったし、それを口にせず頑張って食べてくれることで戦兎だけでなく万丈のことも「いい子だな」って思えたんじゃないかと思うの。そのうえで、トランクの中で「ゲップが甘すぎて気持ち悪い」と小声で言わせれば視聴者だってああ万丈頑張って我慢して食べたんだなイイ奴だなって思うじゃん?。脳筋と常識やデリカシーがないのって全然別なのに、今は後者のイメージが強くてここへきて万丈の印象が急激に悪くなってるのが気になる。
それから、今回
・葛城巧は尊敬する父親のようになりたいと科学者を目指してた
・その父親はパンドラボックスの責任者であのお披露目の場に葛城巧もいた
・父親はスカイウォールを出現させてしまったことで責められバッシンングされまくった挙句自殺した
という事情が説明されたけど、あんときはおかしくなってたとは言えそれはマスターがしたことの結果なわけで、あの時空中に跳ね飛ばされたひとたちは当然亡くなっただろうから今更かもしれないけど、でも跳ね飛ばされた人たちは言ってしまえば名もなき人なのに対し葛城父はそうではない。失われた命に違いはないけど、父の死が原因・理由で(+あの場に居たということは葛城巧もまた光の影響を受けた)葛城巧はファウストを創ったという以上、葛城父の死はこの作品の根幹を担う特別なものであり、繰り返すけどそれを引き起こしたのはマスターであるというこの事実はさすがに「あんときはパンドラボックスのせいでおかしくなってたからなー」じゃ済まないと思うの。心情的に。
葛城巧が母親に託した研究データの入ったUSBを巡り、葛城母がそれを戦兎に渡すと判断するまでの流れ、ファウストに捕えられたものの息子に言われた通り嘘の情報を教え、でも幻徳が持っていたという母親あての手紙もまた嘘で、スマッシュ化されてしまった葛城母は記憶を失くしているものの鍵がないことから自分が息子に言われたことを実行したと判断し、そして息子の好きな卵焼きを食べて涙を流した人ならば息子の考えがわかるのかもしれないと本当の隠し場所を戦兎に教えた・・・というこの流れは丁寧で見応えがあったんで、万丈の印象が悪いのも、マスターのやらかしたことの重大さも、これからそれらがひっくり返る展開が待ってのだろうと期待と希望は持ってるけど、ひっくり返すにも限度ってものがあるのでその見極めは誤らないで欲しい。