『THE ALUCARD SHOW』@AiiA Theater Tokyo

語り部である3人(プラスALUCARDのバット)を全てキャスト変更したことで、初演時にあったエグさがだいぶ薄まった。よくもわるくも。特にブラド様に魅入られALUCARDに欲情するサラ役が聖子さんから光浦さんに代わったこと、これが作品そのものの印象をかなり変えた。初演ではわたしはこのサラという女の描き方に疑問と不満しかなかったんですよね。なぜこんなキャラクター造形なのか全く理解できなかったから。(初演時の感想はコチラ

今回の再演でもサラの言ってることやってること自体は変わらないんだけど、聖子さんから光浦さんに代わったことでサラという女の欲情っぷりがかなりマイルドになっていて、衣装もダサジャージとコント度が上がってるし、まぁいわゆる「喪女」だよねと。「欲情しちまったんだよー」などという台詞自体は光浦さんに全く合ってないんだけど、それでもまぁおばさんがオタクデビューしちゃったんだねーってことで理解できるサラ像になってた。おかげでだいぶ見やすくなったかなーという気がしました。これが「よくも」の理由。

「わるくも」の方は聖子さんから光浦さんに代わったことでサラの狂おしいほどの「渇きっぷり」が全く伝わってこなくなったことと、マリアが真琴つばささんからシルビア・グラブさんに代わったことでマリアVSアルカードがスケールダウンしたってこと。初演時は聖子さんの無駄な熱演とロングコートを翻し若い男を蹴散らす真琴つばささんのカッコよさがともすれば浮いてみえたもんですが、再演を観ると聖子さんのサラであり真琴つばささんのマリアこそが作品に強烈な味付けをし、そして作品を締めてくれていたんだってことがはっきりと解りました。サラ像の変化のおかげで「見やすくなった」と前述しましたが、見やすくなったせいでこの作品のもつ「アク」がなくなってしまった。ウォルターがそのいい例で、オッサンを甚振るアルカードってのが、いや、アルカードに甚振られるオッサン(を観察するアルカード)ってのが最高の萌えポイントだったのに、酒井敏也さんという見た目と声にインパクトがあるちっちゃいオッサンから金剛地武志さんというただのオッサンになったことで萌え度がガクンと下がってしまった。マリア・サラ・ウォルターが三人揃って・・・もうはっきり書いちゃうけどグレードダウンしたことで、それがそのまんま作品の質の低下につながってしまった。と思った。

でも!でもこの作品において三人の存在はどーでもいいっちゃいいんですよ!。ALUCARDが観られればそれだけでいーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーんですっ!!!!!。
ALUCARDカッコいいよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!

三人のキャス変による心理的影響なのか判断がつかないんだけど、初演に比べ再演のアルカードは禍々しさが薄まったように見えました。この表現が的確がどうかちょっと自信がないんだけど、『ポップ』さが加わった気がする。そのため世界中の人々を虜にする「ALUCARD」像をイメージしやすくなったかなと。初演のALUCARDってみるからに冷たく硬質で、とっつきにくい感じがしたんですよね。そこがめったくそカッコよかったんだけど、でもその魅力は果たして万人に伝わるものなのだろうか?と、むしろ知る人ぞ知る極地的なカルト的な、そういう存在なんじゃないかなぁ?って違和感というか、劇中で語られるアルカードとわたしの目と脳が観ているアルカードに齟齬を感じたんだよね。その齟齬であり違和を再演ではさほど感じなかった。

それが最も顕著に表れてたのはタッくんのカーミラ(基本カーミラしか見てないんだけどw)。初演はクールな表情を崩さない、冷酷で冷血で無情なクールビューティ吸血鬼だったけど(そこが超絶素敵だったのおおおおおお!)、今回は冷酷で冷血ではあったけど、そこにしなやかさを感じさせるカーミラで、時折ニヤっと笑みを浮かべたりするんだよね。ポップスター・ALUCARDとしての時間を楽しんでいるように見えたの。そのせいで初演のALUCARDよりも距離が縮まったように感じて、だから世界中のひとに熱望されるALUCARDってな設定もさほど無理なく受け入れることができた。

そしてそして優也!!。優也ブラド様のビジュアル、初演時よりもだんっっっっっっっっっっっっっっっぜん良かった!!!。黒執事でも感じたけど、かなり身体絞ったよね?。初演時は誰よりもデカいブラド様で、それはそれでALUCARDを率いるリーダーのオーラとして、カーミラたちとは“種が違う”ってのが言葉にしてくれずとも解るというか、そんな感じで表出してたんだけど、身体を絞った今回は麗しさガン増しで、そらもう世界中の娘がノックアウトされますわ!という圧倒的説得力!!。カンッペキなる人外っぷり!!!!!!!!。この優也率いるALUCARDを脳内メモリーではなくDVDという「形」としていつでも拝めるだなんて有難すぎて死にそうです。