黒川 博行『熔果』

堀内・伊達シリーズ。
競売物件に居座る占有案件という伊達の本業からあれよあれよという間に5億の金塊密輸詐欺事件にシフトするいつもながらのテンポ感で始まった今回の“シノギ”は作中でそう表現されているように「モグラたたき」のようでした。
あらゆる手段を使い(いや大体が「暴力」だけどw)情報を得るもその筋を辿ると別のところで誰かがひょっこり顔を出すといった感じで、それをどこまでも追う誠やんと堀やんのフットワークの軽さについていくのが精いっぱい。その間にどんだけ飯食うねん!と思いつつw。

途中で「キャンディーズ」というカラオケボックスが出てくることもあって、これは疫病神シリーズで読みたいネタだなと思う瞬間が何度かありましたが、でも稼ぎよりも調査というより捜査だよね、調べて走って追いかけることを、その時間・瞬間を愉しむ堀内と伊達だからこそのこの痛快感であって、疫病神の2人だったら「金!金!金!5億全部奪ったる!!」となったでしょうからw、やっぱりこのシリーズでやるのが正解なのだろう。

堀内のメンタルというか・・・死生観?がちょっと心配な感じだもんでどうなることかと残りページ量が少なくなるに比例して不安がじわじわと増したりしたわけですが、「ワタリガニ喰いましょ」で終わったんで一安心。一安心していいんだよね??。