京橋署暴犯係の勤ちゃんとジロさんコンビが食品卸会社を営む夫が行方不明になったという相談を妻から受けるところから物語が始まり、捜査線上に次々浮かぶ関係者たちと丁々発止のやりとりを繰り返しながらじわじわと事件の真相に近づく警察小説です。
いつもの感じの黒川小説で、食事のシーンが多数あるのもまたいつも通りなんだけど、焼き肉とかお好み焼きなんかを食べるときにノンアルを注文するのがものすごい違和感でした(笑)。勤務中だし車を運転するから当たり前なんだけど、シリーズ作品に毒されすぎてるみたいです(笑)。
「勤ちゃんとジロさんコンビ」と書きましたが、視点としては二人がど真ん中にいるんだけど、失踪人探しが手形詐欺事件に発展し、さらに連続殺人事件の繋がっていくなかでちゃんと上司に報告するし、でもその上司は手柄を自分のものにしたいってんで自分のところの班だけでの解決を目指すんで、疫病神シリーズや堀内・伊達シリーズと比べると班員全員で捜査してる感が強く、そこが新鮮でした。
奥田英朗さんの「リバー」とこの作品を連続して読んだんだけど、どちらも「年単位のスパンで行われた連続殺人事件の捜査」を描きながらかたや2県の県警と警察庁をあげての大がかりな捜査、かたや10人に満たない一個班での捜査と、全く違うアプローチであるので相乗効果でより一層楽しめました。