長沢 樹『リップステイン』

リップステイン

リップステイン

よくわだかまりとか負の感情を“水に流す”と言うけど、だから水の中にはそういう感情がいっぱいあって、それらの集合体である『悪意』がそれを受け入れる隙間のある人間、波長の合った人間に憑りつき、人から人へ乗り移りながら犯罪を犯させていて、一方江戸時代から代々地夜叉を使って悪意を狩ることを使命にしている『夜叉使い』の一族がいて、悪意との戦いに敗れ死んだ姉のあとを継ぐべく“武者修行中”の少女とカメラを持って人を撮る孤独な少年が渋谷で出会って・・・ってな話で、この時点でまぁ・・・・・・そんな感じ(笑)なんだけど、夜叉使いの少女は悪意を吸い取る精霊のような存在である地夜叉を唇に宿すのでキスすることで人々を救うとか、共依存とか直観像記憶とか、あと百合とかなんかもうてんこもりで、さらに主人公(その名も「夏目」!!)の周りに戦う少女・小悪魔系クレバー美少女・アーティスティックでミステリアスな美少女とトリプルヒロインとくるもんで「ああ・・・うん(笑)」ってな感じになりそうなもんなんだけど、実際そうなるんだけど、でもどんどん読み進めたくなってしまうんだよなぁ。読ませるだけの何かがある。余計なものがいっぱいくっついてて、もうちょっと削ぎ落として的を絞った方がいいんじゃないかなーとは思うんだけど、でもその削ぎ落としたものはもので読んでみたい(捨てるには惜しい)と思うし。