学校という閉じた空間で居場所(って言い方好きじゃないんだけど、当時を思い返すとまさに「居(ることを許される・認められる)場所」としか言いようがないな、と思う)を探して図書館に行きついた少女たちが「読書」と出会ってなにかを見つける物語が詰まった連作短編集です。
私は完全に「物語」がないと生きていけない人間なので物語そのものであったり登場人物であったりにありとあらゆる感情を育まれ動かされ生き続けてきたわけですが、この作品集は結局のところ読書対自分ではなく他人対自分の物語だと私にはそう読めたので、この物語に出てくる少女たちのような感情を抱いている誰かがこの小説で救われるといいなと思う。そういうひとに届くといいなと。
連作短編集としてはちょっとした仕掛けがあるのですが、珍しい構成ではないもののバランスというか、1冊を構成する上での過去と現在の匙加減が巧いなあ。
その「構成」に直結しているわけではないけれど、ハム子先生の存在も利いてる。
そして図書館で読書としおり先生から“心の栞”を貰った少女たちに対し、物語のなかで完全なる“悪意”として描かれている少女については投げっぱなしであることに心が向いてしまうよね。
私はもう大人なので、こういう人間がどういう大人になるか知っているから。