一木 けい『悪と無垢』

たぶん初めましての作家さんだと思うのですが、ジャケ買いです。
帯に“新人作家が目にした不倫ブログに登場する「不倫相手の母親」は、自分が長年苦しめられ続けてきた母親だった”的な説明文があるもんで、所謂イヤミス系を予想して読み始めましたが、ジャンルで言うとサイコサスペンス・・・かなー。

最初の章がその「不倫ブログ」で、でもそこに(帯に書かれた)娘である「新人作家」の存在はなくて、次の章で誰だかわからん女の視点で語られる異国での不倫話のなかに「母親」らしき人物が登場してて・・・と言った感じで、時系列と視点がごちゃごちゃしてる構成なんですよね。
それが物語全体を通しての“仕掛け”なんだろうけどあんまりうまくなくてですね、“そういう人間”に出会ってしまうのはある種の“運”だと思うんだけど、それが母親という存在だとまあ地獄だろうな・・・とありきたりな受け取り方しかできなかった。