- 作者: 平野啓一郎
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2010/12/10
- メディア: 単行本
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とまぁ誤解を恐れずに言ってしまえば昼ドラかよと思うような物語なのですが、そういう安っぽさは皆無。例えば「性愛」を描くとして、そのために使われている言葉は美しくも静謐で、下世話な感じは全くしないのです。でもとても官能的。いつものように芸術や食べ物に関する平野さんの趣味嗜好が随所で見られますが、主人公がデザイナーなせいかさほど鼻につくこともなく(笑)、昼ドラ話と合わさると程よい中和加減でエンターテイメント作品としてとてもいいバランスです。
「愛」というかたちのないものを「かたちにする」・・・というとちょっと違う気がしますが、男と女が自分たちなりの愛のかたちを見つけるための題材として「義足」という「かたち」を象徴するものを選ぶあたりもさすが。