中山 七里『ヒポクラテスの悲嘆』

ヒポクラテスシリーズ。
例によって法医学でもって死因=謎を解明するのは光崎教授なんだけど、今作の主人公は完全に古手川刑事。

各章タイトルは「7040」「8050」「8070」「9060」「6030」という数字の連なりで、勘の鋭い人ならばこの並びを見ただけでその意味がわかりそう(私は1篇目の途中で気づきました)。

実際に起きた事件を下敷きにしたと思しき描写・展開があることも含めてどれも非常に現実味のある話で、なんなら「明日は我が身」とすら思うほどなんだけど、そこにぶっ刺した1本の杭、5つの物語を一つにする縦軸はおもいっきりフィクション(的)なんで「小説」として読むことができる。このバランスがいつもながら見事。