中山 七里『ヒポクラテスの困惑』

ヒポクラテスの誓いシリーズ(ってwikiに書いてあったんだけど「ヒポクラテスシリーズ」ではなく「ヒポクラテスの誓いシリーズ」なんですね?)です。

新型コロナウイルスが世界中で感染爆発し、ワクチンの開発が始まってはいるもののまだ接種できる段階ではない時期が舞台で、オンライン通販で成功した実業家が急逝し死因はコロナに感染したこととされているが、その人物は大金を払い未承認のワクチンを複数回接種しているのでコロナで死ぬはずがないと、本当の死因を突き止めて欲しいと対応した古手川に実業家の姪が訴えたところから物語が始まります。

亡くなった実業家の設定をはじめ下敷きとなっている事象や事案は容易に想像できるし、まだ鮮明に覚えているこの時期の国民感情や空気感が物語の中で描かれているのでそういう意味ではこのシリーズで最も「現実味」があるんだけど、でもコロナの脅威は感じない。
最も医療現場が戦場であった時期なのに「いつも通り」とすら感じるのはこのシリーズの舞台が「法医学教室」だからなのかな。
そして「コロナ禍」という歴史に残る(まだ終わってはいない)題材をトリックに使えるようになったんだなーと、やや複雑な気持ちを抱えながらの読書タイムであった。