中山 七里『嗤う淑女』

嗤う淑女

嗤う淑女

人々を手玉に取り連続完全犯罪を成し遂げる稀代の悪女・蒲生美智留を描いた作品。
所謂『悪女』モノはこのところ特に増えているように感じるし、悪事のレベルもどんどんと凄くなっているのでその点については別段目新しいものはありませんが、最後にどんでん返しを用意してるってところが肝。
なんだけど、そのどんでん返しが読めちゃうのがなぁ・・・。見方を変えれば誰でも思いあたるように懇切丁寧に伏線を張ってくれてるということになるのでしょうが、あまりにもあからさますぎて。でもこれぐらい読みやすいほうが売れるのだろう。
美智留に“嵌められる”人間たちが抱える問題はまさに「現代」そのもので、毎日のように作品内で描かれているような事件が報道されてるし、報道されないレベルならもっともっと起きてるのでしょうが、その背後には美智留のような存在とまではいかずとも、誰かのちょっとした言葉や“悪意”によって背中押されちゃったってなこともあったりするんだろうなー。