中山 七里『ヒポクラテスの誓い』

ヒポクラテスの誓い

ヒポクラテスの誓い

単位が足らず内科から法医学教室での臨床研修を命じられた研修医が破天荒な教授と外国人講師の下で隠された真実を見つけながら法医学の現状を知りその意義を見出してくという、目新しさ皆無の題材をどう料理してくれるのだろうかという期待を持って読み始めましたが、物語の中(構成上)で主人公に課せられた役割が思っていたものとは違ったという驚きはあったものの、作品通しての真相である教授の目的が明らかになるまでの過程がつまらなくはないんだけど若い刑事とのやりとり含めありがちすぎて、結末のあたりでは完全に飽きてしまった。こういうネタならばもっとシリアスのほうが良さそうに思うのだけど(中山さんならむしろそういうほうが得意そうなのに)、それこそ「ありがち」すぎるし、なによりそういうタイプの作品は現実で同じようなことが起きるとか話題性がない限りはさほど売れないのだろう。となるとこういうタッチになっちゃうのも仕方ないというか、これも時代性ってやつなのかなーとか思ったり。