『大奥』「八代将軍吉宗・水野祐之進編(9)」

いつの間にか吉宗が3人も子供(娘)を産んでて、でも「父親」の存在は相変わらずないもんで藤波の説教は上様にぜんぜん刺さらなかったんだな・・・と苦笑いしたのはそれとして、ただただただただ

三浦透子すごいな

しかでてこない。
まだ漫画を読んでいないので(シーズン1が終わったら読むつもり)漫画ではどんな絵でどんな(人間としての)描写なのかわかりませんが、なまじ頭がいいだけにあらゆる情報や状況が見えるし理解できてしまうがためにそれを思うように伝えられない口やままならない身体をどうすることもできない苦しみが居姿から伝わってきて、ただただ圧倒されました。
タイトルは吉宗と水野編だし、家重の話としては家重が周囲からどう思われていてそんななかで家重自身が自分のことをどう思っているかを描いたうえで、「吉宗が家重を後継者とすることを決めた」ってだけなのに、家重の記憶しか残らないといっても過言ではないもんな。

加えて貫地谷しほりの巧さ。今回は特に貫地谷しほりの演技力を痛感せずにはいられなかった。
家重に繋げる「上に立つ者の『器』」について語る説得力に老中を理詰めで黙らせる迫力たるや!!。
水野を杉下に会わせてやる上様お優しい!「抱き合いながら泣いてました」と報告する久通に「それは重畳」とクールに笑う上様カッコいい!!んだけど演技としては他の将軍と比べると劣るよなとなるところを、貫地谷しほりの久通が文字通り支えることで吉宗編が成り立っていることを改めて理解しました。

死んでしまいたいと思うまで追い詰められてる家重を救ったのは母である吉宗の「馬鹿だと思ったことなど一度もない」という言葉だったけど、たぶん吉宗はそれをこの時初めて家重に言ったのだろう。だから家重はあれほど泣いたのだろう(母は自分を馬鹿だと思ってはいないと「わかって」いれば死にたいとは思わないだろうから)。

そしてそれは後の田沼意次である田沼龍の働きかけによるもので、金平糖を所望してることがわかった(聞き取れた)からと無邪気に喜んだ後、誰に言われるまでもなく家重の心中を想像して(自分がしたことの意味も理解して)泣くという描写を挟んでのこのエピソードひとつで田沼龍が「デキる女」であることが解るし、ひいては龍を家重付きに推薦した久通マジマジ有能ってことなんだよね。こういう描写はほんとにうまいな。

でさ、ところでなんだけど、今まで赤面が出ていない(から男と女が半々の)村に赤面が出てしまった理由はあの村を水野たちが訪れるようになったから・・・ってことなの?。
これまで赤面が出てなかったのは村外との交流が少なかったからという見立ては正しいのでしょうが、それで言うとついに赤面患者が出てしまったのは猿の肝目当てに江戸からやってきた人と交流したから、ということになるのではないかとわたしには思えるんだけど・・・。