『最愛』第9話

全て自分ひとりで背負うべく会見からの出頭をキメた梓は社長として見事だし、梨央には母親にはなれなかったと言いつつ記者たちの後方で涙目で会見を見ている政信に頷いてみせたのは紛うことなく母親としての姿だったし、「真田の人間は誓って殺人には関わっておりません」というその言葉を信じたいと思わせる薬師丸さんの熱演でしたが、対して後藤さんの無能っぷりといったら・・・。
梨央の懇願・説得を聞かずに自分がやったと警察に話に行くと言い張るところまでは気持ちとして理解できなくはなかったけど、揉めた弾みで脚踏み外して階段から落ちて救急車騒動って、迷惑しかかけてないんだけどこの人・・・。
ていうか、1話冒頭の“顔に血の跡をつけて警察車両に乗り込む梨央”が後藤さんのポカによる状況下でのことだなんて、笑えるけど笑えねえ!。
加瀬さんは鞄の底から見つけたペンを梓からのメッセージ付きで箱に入った状態で宝物のように保管してる後藤さんには、結局後藤さんの『居場所』は会社ではなく『梓を支える』ことだったんだなと切なくなったけどさ!。


なんてことを吹っ飛ばす「15年前、台風の夜、本当は事件の現場におりましたよね?」ってマジかー。


当初はその可能性を考えなくはなかったけど、でもここまでの大輝はそんな素振りを全く見せてこなかったじゃん。誰かの前だけでなく一人でいる時だってずっとなにかを「知ってる」ようには見えなかった。
わたしはそれを信じるよ。前回ラストの加瀬さんと同様に大ちゃんも次回(最終回)への引きとしての“釣り餌”に決まってる。
これで15年前の渡辺息子の件に大輝が関わってたなんてことになったら梨央の腕の傷に驚いたり姉ちゃんの結婚式に何食わぬ顔で参列した(梨央にメールを送ってきた)ことも含めてサイコパスじゃんってことになっちゃうわけで、そんなのわたしに対する裏切りだもん。
だから藤井の問いに思わせぶりな悪いかおをしてみせる大輝だけど、最終回の冒頭で「なに言っとるんやお前?」と否定してくれるに決まってる。そうであってくれ頼むから。

でも渡辺康介死体遺棄ならびに梨央と優のフォローを含めた後始末を行うのは達雄一人では難しいだろうってのはその通りだと思うので、共犯者の存在を否定することはできそうもない。それが大輝なのか!?というのが現時点での「疑惑」であるわけだけど、共犯者がいたとしてもそれはもう明らかにならずともいいのではないか。だってもう「終わったこと」だもん。
可能性というか、岡山天音フィルターを通すと手を貸したのは藤井ではないか?と考えそうになるけれど、大輝同様藤井も警察官であるわけで、犯罪を犯しておきながら警察官やってられるほど“マトモじゃない”人間だとは思いたくない。演者が岡山天音となると余裕でありえると思うけども!。


15年前の事件は終わったことだとしても、現在捜査が行われている事件はそうはいかない。
だったらこっちは渡辺父は意識朦朧とした状態で歩いて隣の池まで移動して落ちて死んだ事故死で、橘しおりは自分が死ぬことで真田グループへの疑惑を強め、その中心に「自分の死」があることを望み、真田グループに関する取材資料や原稿を編集長に託して自殺したってことで、つまり「犯人」はいないってことでいいのではないか。

渡辺父の遺体発見現場から真田の関係者しかもっていないはずのペンが発見されたことは事実であるわけだから、直接でなくともこの件には誰かがなんらかの関わりを持っているということにはなるのでしょうが、現在も所持していることが明らかな梨央と加瀬さんと後藤さんは違うとすれば梓か政信のどちらかで、記者会見での梓と政信のアイコンタクトの理由が「ここ」にあるのならば政信がその「誰か」であり、梓は自分のペンを政信に渡したがためにペンの行方がわからないととぼけたのかなと考えるけど、それでも「真田の人間は殺人には関係していない」という梓の言葉を信じるならばその関わりは「犯人」としてではないのでしょうからもう事故死でいいよと。
・・・まあそうなると警察がまるでバカみたいなんだけどさ。


というのはわたしの希望で、なぜそんな願望を抱いてしまうのかと言えば優の存在が気がかりだからなんですよね。
15年前の事件と渡辺昭の事件と橘しおりの事件。
誰もしらない事実、真実を知っている者がいるとすれば15年前と渡辺昭の事件には「その場」に居て直接関わっていて、橘しおりについても後藤の指示で調べていた優なのではないかと思えてしまう。
梨央の作った薬によって優の記憶の匣が開き優の脳裏に「真実」がどっと流れ込む・・・なんてことになったらと思うと犯人なんていなくていいじゃんと願ってしまう。


残すは最終回あと1話。すべてを見終わったあとでわたしはどんな顔になっているのだろうか。