『最愛』第7話

そもそもが「謎解き」ドラマではないと理解しているうえで、ここまでのところは概ね「予想通り」で進んできたわけですが、ここで橘しおりが死ぬのはやや意外かな。
後藤が手を下したにせよそうでないにせよ、金で記事を差し止め(買取)しようとしたところを逆に「証拠」を掴まれてしまったわけで、もはや橘しおり一人を「消して」も手遅れだろう。そういう意味で「やや意外」。

あの日なにがあったのか、あの日から自分の人生がどう変わってしまったのかを梨央に語ったしおりが残した「罪を犯した人間は報いを受けるべき」という言葉。
しおりの「死」は果たして「報い」なのか。報いであるならばしおりは死ななければならないほどのどんな「悪いこと」をしたのか。
殺されれば注目を浴びることができるかもと言っていたしおりなのに、現時点で身元不明のそのニュースは梨央と優の耳には届かないってのがなんとも無常。

しかし「罪を犯した報い」だとするならば、橘しおりの過去回想によって真正のド鬼畜であることが明らかになった渡辺康介のそれは、殺されて埋められて白骨化して発見されるだなんて報いとしては軽すぎると思ってしまう。
ていうかコイツまじなんなん?陸上部とは全くの無関係なわけだよね?なのになんで合同合宿の打ち上げなんて場所でウロチョロしてんの?それを誰も気にしないの?。
長嶋の大麻友達として陸上部の寮をいいように使ってんだろうなってことはわかるとしても、あんな真昼間の人目もたくさんあるなかで狙った女に一服盛って暴行に及ぶって悪質なんてもじゃなくない?行動としてあたまおかしいレベルでしょうよ。

なぜ「報い」について考えてしまうかといえば、それは理由はどうあれ記憶がどうあれ優も「悪いこと」はしているから、した自覚があるからなんですけどね。

渡辺昭の殺害については不起訴だし、渡辺康介の殺害・死体遺棄についても優が罪に問われることはなかったわけで、法的には優の「罪」はないと決まったけれど、橘しおりの言葉はそういう意味ではないだろう。

姉ちゃんと一緒に暮らせるようになり、大ちゃんと三人でご飯を作って食べることができて、悩んだ末に治験を受けることにして、そして「弁護士になりたい」という夢がみつかった。

今の優が楽しそうで幸せそうで充実していそうであればあるほど、その先にまっているかもしれない「報い」が怖いんだよ・・・。
つんつるてんのパジャマ着る優が可愛ければ可愛いほど、優が壊れてしまうような気がしてならないんだよ・・・。

そのセンで言うと、前回あれだけ切なく「もう会わない」と決めたというのに優に「逃げたってなにも変わらない」返しをキメられて一緒にごはん食べる羽目になってしまった梨央と大ちゃんも、これ以上の「幸せ」はもうないんだろうなーと。
大ちゃんの「もう謝らんといて」が最高に優しかっただけに、これ以上はもうないのだろうと、そんなふうに思えてしまうのはなぜなんだろう。

梨央と優と加瀬さん。
梨央と優と大ちゃん。

前者は未来を見ているし、後者は過去を見ている。その違いがこの先どうなっていくのか、楽しみだけどこわい。