湊 かなえ『告白』

告白

今年一発目に読もうと思って温存してました。帯でどこだかの書店員さんも書いてましたが読中感も読後感もまさに「うわぁ･･････」って感じで後味の悪さたるや凄まじいものがありました。まさに「凄まじい」という形容詞しか浮かびません。
一つの事件というか事実を関係者の証言等によって多角的に描くってのはちょっと考えただけでも宮部みゆきの「理由」や恩田陸の「Ｑ＆Ａ」あたりがパッと浮かぶのでさほど珍しい構図ではないと思うのですが（そういや三人とも女性作家ですね）、中心となる事件というか事実そのものが残酷で非道だということが大きいとは思いますが前に挙げた2作品と比べると作品に満ちる悪意は本当に凄いの一言です（前述の2作品はたまたま思い浮かびかつ面白かったので例として挙げただけで他意はありません）。特に女性の語り部パート。私は“女”を読みたい時は女性作家作品に限る、本当の意味での女を描けるのはやっぱり女だという読書持論を持っているのですが、今回もそれは裏切られなかった。面白かったというと語弊があるんだけど、特に少年の母親の目線が気持ち悪くて怖かった･･･。この作家さんについてはこれが初めて書いた小説（すごすぎ！！！！！）だと言うこととわたしとさほど年が違わない（そしてちょっと美人さん･･･）ということぐらいしか知らないのですが、同じ母親でも教師よりもこっちの方がありがちな設定な分“無自覚な悪”を描くという意味ではリアリティを感じました。

次回作に猛烈期待します。