矢樹 純『残星を抱く』

娘と自宅から少し離れた牧場に遊びに出かけた帰りに立ち寄った展望台で男性が暴行されているのを目撃し、慌てて逃げるも山道を追いかけられ間一髪逃げ延びることができたと思ったら、自宅周辺を不審人物がうろつきポスト怪文書を入れられるようになり・・・という始まりで、母親であり妻である女性を主人公とする物語です。

この女性は捜査一課の刑事である夫との関係が上手くいっておらず、それは夫の過去を理由とするもので、目撃したことや不審人物について話をしようとするもののなかなかできず、そうこうしてたら夫が首を吊った状態で発見されてしまうのです。
その後夫が単身で主人公の父親が亡くなった二十年前の事故について調べていたことが判り、夫はなぜ今頃になって父親の事故について調べていたのか、それを知るために娘を祖母に預け主人公はかつて暮らしていた故郷に向かうのですが、ここからガラッと話の空気が変わるんですよね。
それまでは偶然暴行の現場を見てしまったがために不審人物につけ狙われることになってしまったただの主婦の不安や恐怖が描かれていたものが、バトル小説になるんですよ。ただの主婦だと思ってたのに怪文書犯をおびき寄せ罠を仕掛けるわ、夫の不倫相手だと思っていた女とキャットファイトするわ、殺されかかるわ、トドメはガチの命の取り合いですから。
もちろん勝つのは主人公で、感想としては「この女、強すぎだろ・・・」しかないですw。