『サイン-法医学者 柚木貴志の事件-』最終話

殺害の一部始終を撮影した映像があるのに解剖結果とすり合わせる必要ってあるんですかね?。そりゃ「決定的な証拠」にはなるだろうけど、この映像だけで十分じゃない?。
ていうか、え?青酸を使ってくると見越して解毒剤ポケットに入れて待ち構えてて、指に塗り付けてんのも鏡越しに確認しておきながら、解毒剤飲むのが間に合わなくて窒息させられて死んじゃいましたってことですよねコレ?
それで「柚木先生は生きようとしてました!」って、主人公が間抜けみたいなんですけど・・・

どこかで「主人公が殺されるよう仕向けて自身が解剖されることで決定的な「証拠」をその身体に残す」という結末だというネタバレを見てしまっていたので、そこに至る流れ、特に柚木の心理をどう描くのだろうかと思ってたら、まさかこんなアホみたいな話になるとは。
自分の身体を解剖させなければ証拠を見つけられない(死と引き換えにして初めて証拠を得られる)というなら主人公の行いとして格好いいと思ってしまうし、そこに恩師の名誉のためとは言え偽証という法医学者としてやってはならないことを行ってしまったことに対する償いも含まれているのだとすれば心情的に理解もできるってなもんですが、ほんとに死ぬつもりじゃなかったのだとすればこの結末はアホとしか言いようがないですよ?。
柚木が死んだことで松雪さんは命令を無視して捜査の指揮をとり証拠映像を確保したし、柚木が死んだからこそトオルちゃんもまりえが解剖することを認めたわけで「柚木が死ぬ(殺される)」ことが必要不可欠な展開であることは理解するとして、「生きようとしてました」というまりえの主張が邪魔なのよ。弟子の気持ちを考えて、弟子に“そう思わせる”ために解毒剤を忍ばせておいたということなら柚木先生優しい・・・となるけど、飲もうとして失敗してましたからね・・・。いろいろと台無しですわ。

権力に守られていた殺人犯を逮捕でき、保身のために権力を発動してたその父親は総理の椅子を目の前にして議員辞職する羽目になったものの、隠蔽の事実上の主導者だった木下ほうかについてはどうなったのかわからんし、法医研至上主義を理由に数々の不正を行ってきた仲村トオルは墓参りで終わりだし、映像データの削除を命じたヤツや青い繊維をトオルに渡したヤツ(こいつどの面下げて主人公の解剖を涙流して見てんだと)についても何もないし、『主人公の死』と引き換えに視聴者が得られるはずのカタルシスもなく、なにより大森南朋の魅力が全く活かされなかったという(わたしにとっては)無意味な3か月であった。