菅原 和也『CUT』

CUT (単行本)

CUT (単行本)

初めて読む作家さんです。
現在進行形で行われている犯罪が叙述であることは早々に解ってしまうんで、この物語の主題としては問題を抱える主人公が事件を追うことでどう変わっていくのか、ということになるのでしょうが、実はそうじゃないんだけど、主人公の視点では乗り越えられたし、主人公を事件に引きずり込んだ女も仕事をしたと思ってるし依頼人も復讐を果たせたと思っているんだろうから、真相がどうあれそれぞれが満足すればそれでいいって話なのか?。であれば酷い話ではあるけどそういう見方もできるよねという意味で納得はできるんだけど、単に後味の悪さを狙ってのこのオチだとしたら中途半端というか、安易。
ていうか始終見当違いの推理を偉そうに語りまくる探偵役の女はこれ何なのだろうか。この女がなぜこういう考え方をするのか等の掘り下げがなされるのかと思いきや、実はこういう本職でしたって、え?まさかそれだけ??と。前述のように真相がどうあれ依頼人が満足・納得してもらうこと、それが仕事なわけだから、主人公と依頼人双方を・・・救うという言葉を使っていいのかなぁ?とにかく双方にとって前向きな結果になるために真相を解っていながらあえてそれを曲げたのかなぁ?と思ったんだけど、だとしたらそれを匂わせる描写を入れるよなーとも思うわけで、やっぱりほんとに勘違いしてるってことなのかなぁ・・・。