輪渡 颯介『猫除け 古道具屋 皆塵堂』

猫除け 古道具屋 皆塵堂

猫除け 古道具屋 皆塵堂

シリーズ1作目にあたる前作で語り部(視点)であった“太一郎”がシリーズ主人公なんだとばかり思っていたので、今作はそのいきさつこそ違えど同様に皆塵堂の世話になる“庄三郎”なる人物が「主人公」だもんで驚いてしまいました。そうか、これはそういう作りのシリーズなのか。
・・・って、前作も今作もおもいっきりタイトルに『皆塵堂』って入ってるじゃないのさね(笑)。
で、前作の感想で浪人・左門シリーズと違いこちらは基本“人死に”を扱わないほのぼのとした作風になりそうだと書いたのですが、いやいやどうして、今作は思いっきり人死んでますやん(笑)。
つまりこれは作品ごとにことなる語り部=「主人公」になるわけで、1冊を通してその人物が皆塵堂に出入りするレギュラーキャラたちの助けを借りながら過去を乗り越える話を描くシリーズなのでしょうが、その語り部が抱える事情(過去)の『質』によってその都度作風というか取り扱うネタの種類が変わると、そういうことなわけね。なるほどなるほど。
ていうかそれとともに前作主人公・太一郎の“その後”も描かれるんだけど、太一郎頼りになりすぎだろう(笑)。それどころかちょっとカッコよくなりすぎ・・・ってか萌えキャラになりすぎです!!。
きっと次作の庄三郎もなんやかんやで伊平次に上手いこと利用されるんだろうけど、なんだかんだでカッコいい見せ場があったりしちゃうんだろうなー。そうやって江戸の町に仲間・・・というよりも『身内』と表現する方がしっくりくるかな、シリーズを重ねるごとにそういう人たちが増えていき、作品世界が広がっていくんだろうなと思うとこれからが楽しみ!。