第34回鮎川哲也賞受賞作です。
受賞作は帯に選評から抽出した“お褒めの言葉”が載っているのが常ですが、私がこの作品を手に取った理由はそこに「麻耶雄嵩さん」のお名前があったからです。
いつから選者をやられているのか存じませんが、青崎有吾・東山篤哉と並んで麻耶雄嵩とあれば手に取る以外の選択肢はないのです。
感想としては各選者の選評通り「確かに巧い」の一言です。
ジャンルで言うと医療ミステリなんですが、受賞者の方は現役医師だそうで、突拍子もない設定だけどトンデモとは感じさせないのはそれゆえかな。
話運びも無理がないし、ひっかかるような描写もなくてスイスイ読める・読ませる。
受賞作に「安定感」と言うのはヘンかもしれませんが、粗がないので早くも次回作がシリーズとして刊行予定なのも納得です。
