- 作者: 麻耶雄嵩
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2018/03/30
- メディア: 単行本
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主人公は職業探偵を目指す二人の女子高生で、かたほうは芭蕉オタクの暴走気味のボケっ娘でもうかたほうは低血圧で寝坊常習のクール系人見知りっ娘という両極端なコンビでして、表紙のイラストから受けるイメージ通り非常に軽い感じのノリだったりするわけなんですが、まずこの女子高生コンビに全く萌えない(笑)。そして女子高生が首つっこんでる事件が殺人なのはいいとして動機がドロドロ(笑)。大人も高校生も中学生も愛憎渦巻きまくり(笑)。
この作品は収録順に仕掛け(というほどのものでもないけど)があって、最初の2篇は「桃青コンビ」として二人の女子高生がなんやかんや言いつつ巻き込まれた事件を推理するわけですが、かたほうの兄がその事件を担当する刑事で、既に探偵としての実績を署内で認められている二人は捜査に協力しているというところから始まってるんですよね。だから兄も含めた三人の関係性を「設定」として、そういうものとして受け入れながら読み進めるわけなんですが、ラストの1篇は二人が出会う中学時代の話なのです。「探偵になる」という夢は共通でも目指す探偵像も推理の仕方も全く違う二人が今(前2篇)のようになるまでにどんなことがあったのか、それを最後に持ってくるところがなるほどねーと感心。そこにあるのは「あお」の打算で、でも打算だけじゃない「もも」でなければならないというそこはかとなく百合の匂いがあったりもして、それを踏まえたうえで前2篇を読み返すと二人のやりとりの背後にある思惑が見えるようで、見立て殺人を誘発しちゃうという1篇目はまだしも2篇目(3篇目も)は謎解き(ロジック)がイマイチだなーと思ったもののまた違う楽しみ方ができるのです。