月村 了衛『追想の探偵』

追想の探偵

追想の探偵

特撮が好きで特撮専門雑誌を実質一人で作ってる女性編集者が主人公。「人捜しの神部」と呼ばれる主人公は雑誌の目玉にすべく今では行方がわからなくなった特撮関係者を執念でもって捜しだし、埋もれていた真実を掘り起こす・・・的な物語なのですが、アニメ畑かと思っていた月村さんが特撮!?と驚き調べてみたらアニメはアニメでも特撮寄りというか、特撮と親和性の高そうな作品に携わっていたようで、なるほど納得。
そして帯に『日常のハードボイルド』とありますがまさにその通り。これといった事件が起きるわけでなく、戦いが勃発するわけでもなく、そこにあるのは長年秘められた事情であり想いであり・・・なのですが、それでも年相応の悩みを抱えつつも「それが仕事ですから」と言う潔さに月村さんらしい空気感であり美学が貫かれている。
特撮好きなので実在するアレコレを当て嵌めて楽しみつつ気楽に堪能できました。