三羽 省吾『Y.M.G.A. ―暴動有資格者』

Y.M.G.A.―暴動有資格者

Y.M.G.A.―暴動有資格者

PRNという企業の台頭により格差が広がったこの国では、地上に住む超上流階級に対し戸籍すら持たず地下で暮らす人々が大勢いる。地下住民の若者は各地で窃盗団を作り、リオもまたその一員であるが、窃盗団を狙う自警団の男に殺されそうになっていたところを<アフロ>という空飛ぶバイクを駆るカイに助けられる。カイと出会ったことによって翼を得た若者たちは、狂乱し、やがて世界を変えるべくPRNへ戦いを挑む。ってな物語で、わりとありがちな設定を三羽さんがどう料理してくれるのかと楽しみにページをめくりましたが、前半は期待通りだったんだけど対PRNという流れが明確になったあたりからちょっと雲行きが怪しくなってきて、PRNという巨大企業の中枢にいるという人物たちがリプロダクティブクローンによって世襲を行ってるとかいうもんで一気にテンションダウン・・・。それもまたありがちな設定ではあるし、本来であれば(小説の中では)そんなに嫌いな展開ではないんです。でも同時期に観ていた移植用のクローンとして生きる若者たちを描いたドラマと重なってしまい、今私そういうの受け入れられる気分じゃないんだよ・・・・・・って。
でもそっち方面に進むのではなく結局は個人の感情、個人間の感情の話になり、わたしの理解できる範囲内で収まってくれたし、綺麗にまとめてくれたので「面白かった」という気持ちで読み終わることができました。ちょっと時間を置いて読んだならばもっと楽しめそうな気がするので、そのうち読み返したい。