新堂 冬樹『底なし沼』

底なし沼

底なし沼

その道の人間に知らない者はいない蔵王シノギは、サラ金に完済した債権を取り戻さなかった間抜けなカモから更に金を巻き上げる、いわゆる「二重取り」である。過去のトラウマを抱えた蔵王は今日もあの手この手で返済を迫る。そんな蔵王の前に現れた結婚相談所経営の日野。キャバクラで出くわした日野の態度が気に入らなかった蔵王は、日野が過去に借金を抱えていたことを知り、日野を嵌める計画を立てる。お互いの元にスパイを送りあう蔵王と日野。せめぎあいの中、蔵王は日野の背後に自らを闇の道に誘った広域暴力団のキレ者がいることを知る。最後に笑うのは誰か。借金で借金を返す無間地獄。真の闇金をえぐる極悪金融小説。


思いっきり新堂の土俵で描かれたいわゆる十八番(別の言い方をすると代わり映えのしない)な物語ですので特別な感想はなにもないのですが、ああ落ち着くなぁという感じ。暴力だらけの話を読んで落ち着く私大丈夫か?と思うけど。
ちゃんと借金を返済したのに、ある日突然怖い人が返し終わったはずの借用書を携えて「払えワレ!」と現れるなどという恐ろしいシステムがあるなんて知りませんでした。私絶対カモられる自信がある。もしそういうところでお金を借りなければならない状況に追い込まれたとしても、借用書はちゃんと返してもらって自分の手で破棄しようと心に強くメモしました。それから結婚相談所に騙されるなと。新堂小説は勉強になるなー。適当なのは気のせいですよ。