荻原 浩『あの日にドライブ』

あの日にドライブ

あの日にドライブ

人生に躓いてしまった元銀行マンは、繋ぎのつもりで始めたタクシー運転手の仕事の途中、大学時代に過ごしていたアパートがそのまま残っていることを知る。あの頃に戻れることができたなら、まったく違った人生を送ることができたのに。


「人生やり直しボタンがあったら押す?」「間違いなく押すね。小学校時代まで戻るね!」そんな会話をこれまで何度繰り返しただろうか。確か“稲中”で“人生やり直しボタン”の存在を知ったと思うのですが、それ以降、煮詰まると“人生やり直しボタン”押してぇぇぇぇ!と思います。違う人生を送ったら送ったでそっち側にも苦労や悩みが盛り沢山だったりするだろうし、心の底から満足いくことなんてきっとないんだけど、あーあの時違う選択をしていれば、別の人生を送ることができたかもしれないなぁ・・・と想像してしまうのです。こういう気持ちになるということは、私も相当歳とったってことだよなぁ。

明日の記憶」でプチブレイクした著者ですが、このままサラリーマン御用達作家になってしまうのだろうか。