『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』第9話

あー、言葉選ばずに言うけど普通のラブコメになってしまったなー。
弱視ドロップアウトと、事情・問題の質の違いはどうあれ社会的弱者であることを自覚している2人が出会い、お互いが相手の隣を並んで歩くに相応しい人間になりたいと思って成長し合う姿がキラキラしててよかったのに、なんでこんな話になっちゃったんだろう。
って、「なんで」だかはわかってんのよ。緋山というキャラクターを出したせいだってことはわかってる。
順風満帆なユキコと黒川の交際に対しドラマとしてその幸せをかき乱す存在を投入するのはいいとしても、そのせいでこれまでの良さがなくなってしまったんでは本末転倒以外のナニモノでもないよ。

心配してた青野のホーム落下事件はなぜか黒川が怪我をするというトホホな結末だったのはいいとして、視覚障碍者にとって駅のホームがいかに怖いか、だから声を掛けて助けてくれることはすごく嬉しいと語るユキコたちと、最初は声を掛けるのに勇気がいったよと言う緋山のくだりがわざとらしすぎて白けちゃったし。こういうことを伝えるにあたり前半はもっと自然に(流れのなかで)描いてたと思うんだけどな。

弱視である自分が認め求められることの喜びを知ったから、ほんとうは鹿児島に行って働きたいと思ってると黒川の気持ちを理解し送り出そうとするのはユキコの行動として納得だけど、そこで「別れよう。もう黒川の顔は見たくない」とあえて突き放すという選択をするとはここまで見てきた限りでは思えないし。
というか直前まで緋山といたところを黒川が見てたことを知ったうえで、その説明をせずに「別れよう」って真意がどうあれ非道すぎるでしょ。
なんだかんだでバイト先ではうまいこと働けてるし、クリスマスイベントでもちゃんと役に立てたってんで「やりたい仕事が見つかった」ものの、食品関連会社に就職できても希望の職種ではなくデスクワークという現実を突き付けられたことでユキコ自身もメンタル的に弱ってることを差し引いても、こんな言い方した挙句泣くとかアホ展開すぎて萎えるわ。

ユキコは黒川の表情が『見えない』からちゃんと言葉にして伝えてほしいと、伝えたいと、それをここまで丁寧に描いてきたはずなのに、黒川の過去になにがあったのかを知ってるユキコにここで「もう黒川の顔は見たくない」と言わせることにどんな意味があるのか、この描写を見るかぎりわたしにはそれを理解することができない。

おかげで「ここが人生の岐路かもしれないし、いつか後悔するかもしれないから行った方がいいと言ってやるべきだけど、遠くへ行ってしまうと見守ることすらできなくなってしまう」という自分のエゴに苦しむ獅子王と、獅子王さんの想い人が誰であるかに気づいてしまうイズミというわたしにとっての“本筋”までどうでもよくなるというか、ここ掘り下げてる場合じゃないよね?ってな感じになってしまうじゃないのさ。