川瀬 七緒『スワロウテイルの消失点 法医昆虫学捜査官』


解剖室で感染症発生!とデカデカと書かれているので一体なにが起きるのかと思ったら、立ち会っていた所轄のお偉いさんが突然首筋から出血したもんだからすわエボラ(的なやつ)か!?となり、そんなに短期間に発症するものじゃないからとそれは即座に否定されたものの隔離室でひとりまたひとりと外見に異常が現れ結局全員が発症。その原因は・・・肉眼で見えるかどうかサイズの蚊に刺されたことでした!

とまあいきなりジェットコースターのような始まりですが、遺体の状態に加え赤堀・岩楯以下捜査関係者の身体状態こそ「酷い」ものの事件そのものは派手だったりするわけでもなく(このシリーズ的に)いつも通りの感じでした。前作で所属する組織が変わり、赤堀の過去・背景が明らかになった(岩楯がそれを知った)ことによりシリーズの方向性が大きく変わってしまうのではないかと思っていたものの、拍子抜けするほど「いつもの赤堀涼子」でした。

でも今回は岩楯の「相棒」と捜査の中で知り合った男子中学生がなかなかに個性的なキャラクターでして、その二人に対する赤堀の接し方、言動にはやっぱり赤堀の背景がわかった影響があるんですよね。赤堀にそういう一面があるとわかっているからこそその無茶苦茶だったりともすれば冷酷に聞こえたりする言葉の意味、その本質が理解できるのです。そしてそれは作中人物である岩楯も同じであること。前作でも思ったことだけど、赤堀に「理解者」がいてくれることがほんとうに心強い。

心強いといえば捜査分析支援センターの羽多野さんですよ!。赤堀とは似た者同士であるがゆえに反発するか解り合えるかどっちに転ぶ!?と思ってたんだけど、今回の羽多野さん最高オブ最高です!!。
羽多野さんを加えて今回は「チーム戦」の趣が強く、虫!虫!虫!!というよりキャラクターの絡みや成長を楽しむ感じでしたが、それはそれで面白く読めました。