川瀬 七緒『法医昆虫学捜査官 メビウスの守護者』

メビウスの守護者 法医昆虫学捜査官

メビウスの守護者 法医昆虫学捜査官

相変わらず面白い。西多摩の村で激しく損傷した(損壊された)バラバラになった腕が発見され昆虫学者である赤堀も捜査に加わるが、法医学者と昆虫学者の「死亡推定日時」が異なり・・・というところから始まって、残りの死体が思わぬところから発見され、そこに赤堀ですら見当がつかない虫がついていてと展開するんですが、今回は赤堀と執念で勝負できる犯人で、これまでで最もミステリー的要素が強かった。加えてこれまでは赤堀の知識と執念と閃きが事件を解決に導いていたけど、今回は岩楯たち警察の地道な努力もあって読み応えがありました。
このシリーズの個人的楽しみとして毎回変わる岩楯の相棒(若手刑事)ってのがありまして、今回は山(地元の村)を愛する山岳救助隊員でこれはちょっと・・・私の好みではなかったんですが、事件関係者に村中の女子のハートを奪う美少年などという存在がいてですね、この少年が物語においてどんな役割を担っているのか?ってのが読みどころ(のひとつ)だったのですが、いやあ・・・この結末は予想できませんでした。この苦すぎる後味は見事。