永瀬 隼介『総理に告ぐ』

総理に告ぐ

総理に告ぐ

スクープをものにしながら発表の直前にビビって署名を取り下げたことで今も燻っている売れないノンフィクションライターが、引退した元大物政治家のゴーストライターを引き受ける。元大物政治家の口から語られたのは絶大な人気を誇る現職総理大臣の特大スキャンダルだった・・・という物語で、これだけだったら社会派作品になりそうなところを癖のある刑事三人組を東大卒の女性キャリア警視正が率いる特別班(警察庁直下)VS公安という要素を絡めることでエンターテイメント性の高い読み物になってます。
なのでリアリティはないです。でもそこに現実を重ねてしまう。こんないかにも“小説っぽい”話なのに、そこに現実が見えてしまうことに憤りと同時に無力感を覚えました。