『重版出来!』第7話

あかん・・・これはあかん・・・・・・。
才能どころかまともな夢すらないわたしには共感する資格などないかもしれませんが、「いつか、いつかいつか」と思い続けて今日まできてしまった沼さんの気持ちに、「特別でいたかった」という沼さんの想いに超絶シンクロしてしまい、ダダ泣きでした・・・・・・。
ネーム汚したのは自分だと明かしたあと、「絵が下手でムカついたから・・・?」と全然わかってない中田の言葉に「お前すごいな」と笑い、どうしても捨てられなかった受賞作の原稿を「俺の分まで頑張れ」と手渡したのに「俺は俺なんで」とアッサリ言われ、中田くんと握手して別れたあとで涙がじわじわこみ上げちゃうのとか無理!クッソ泣いたわ!。
もうさ、心から中田はネームを汚したのは奥さんだと思ってると聞かされた瞬間と、誰にもわかってもらえなかったネームの意図を中田くんが理解した、この瞬間の沼さんの顔だよね。中田くんのネームを見てインク?墨汁?ぶちまけるほどの恐怖と混乱に襲われたと同時に圧倒的な「才能」に畏怖したのに、当の中田くんは自分のことなど文字通り“眼中になかった”。その時点でものすごい無力感を覚えただろうに、誰もわかってくれなかったものを一瞬で理解してくれたんだもん。誰にもわからないと思うことで「特別」だと思えていたのに理解できちゃうんだもん。すごいって言って泣いてくれたんだもん。嬉しいし悔しいし羨ましいし、これはもうお手上げだよね。「気がすんだ」ってのが共感どころじゃない勢いで伝わってきた。
「いつかいつか」でここまで来てしまったと気づけたのなら、分かってもらう努力をしなかったと思ったのなら、今度こそ本気の本気で漫画を描いて(ネームじゃなくて作品そのものを)分かってもらうために何でもしてみればいいじゃんと、今度こそ本気でぶつかってみろよと、ずっと想い続けた「いつか」は「今」なんじゃないのかよ!!と、そう思いたくなるけど、でも沼さんは中田に出会ってしまったんだよ。漫画の神様に愛される人間に出会ってしまった。
三蔵山先生が漫画界でどれぐらいの地位とか認知度とかを得てるのかよくわからないんだけど、看板作家として長期連載してるぐらいだし、そのうえ新作の構想を練ってるぐらいだから三蔵山先生のアシスタントは「仕事」としてそんなに悪くないんじゃないかと思うの。沼さんが住んでる部屋わりといい感じのところだったし(こういうところにも沼さんのこういっちゃなんだけど“中途半端”なところが現れてるのかなぁ。漫画以外のことはどうでもいいってんじゃなく、生活は生活でちゃんとしてそうなところが)、お給料だってきっとそんなに悪くないだろう。だからプロのチーフアシスタントとして三蔵山先生を支えると割り切る道もあったんじゃないかな。
でも長年続けてこれたのは「いつか」という想いがあったから。
結果的に言い訳でしかなかったけど、いつかきっとという『夢』があったからこそ続けてこられた。
それを失くしたらもう続けられないんだろう。続けてはいけないと思ったんじゃないかな。それが沼さんなりのケジメだったのだと思う。
だから長年のチーフアシスタントに辞められたら誰よりも困るはずの三蔵山先生は引きとめることをしなかったのだろう。
って考えると、三蔵山先生は沼さんにネームを見せられた時なぜ「伝える努力」についてアドバイスしなかったのかなーって思っちゃう。もうちょっとコメディ寄りにしてみればだっけ?三蔵山先生のアドバイスはつまり「もうちょっとわかりやすくしなさい」ということであったことが今なら分かるし、それはイコール「伝える努力」ということになるだろうわけで、だからそれを理解できなかった沼さんが愚かであったことは確かなんだろうけどさー。そこまではっきり伝えてくれなかったのは沼さんの個性は「読者が求めるもの」と違っていることが明らかだったからかなぁ?。そこで伝わる作品にすることができないであろうと分かっていたからとか?。あの中田くんが涙を流して「すごい」って言うぐらいだから分かる人からすれば、分かってみれば、すごい作品(になる可能性がある)なんだろうけど、それを万人に分からせるものにできるかどうか、そこが大事だってことなのかなぁ。それを理解できなかった沼さんはつまり才能がないということになるのかもしれないけど・・・。
あとさ、穿った見方になるかもだけど、沼さんには「帰る場所」があるんだよね。四十男が夢諦めて実家に戻ったって普通は居場所なんかないじゃん。マトモな再就職なんて無理じゃん。でも沼さんには家業があって、受け入れてくれる家族がいる。だから最後に酒を酌み交わして快く送りだしてやることが出来るってところはあるかなーと。さらに言えば、これが切なくて痛いけど後味はそんなに悪くないエピソードになったのは、近所の婆ちゃんたちに帰ってきたの?と聞かれて「もうずっといるよ」って笑う沼さんが切ないけどでも素敵だったのは、最後のあの「新酒出来!」があるからこそだもんね(未経験で酒屋やって煮詰まって風俗行こうとする男をつい最近見ましたがw)。
ってのが次回の中田くんに繋がる・・・のかな?。壮絶な幼少時代を送ったという中田くんは「帰る場所」がないわけで、今回は“だからこそ”中田くんは天才なんだという描き方(そう沼さんは受け止めた)だったけど、次回のメインになるであろう牛露田親子の話、1作で消えてしまった漫画家の話と中田くんの話の対比としてまず沼さんの話が描かれたのかなーとかぼんやりと予想。漫画の神様に愛された者も、愛されなかった者も、それぞれ苦しみを抱えてるんだろうなぁって。
いやあ、沼さんよかった。素晴らしかった。やっぱムロツヨシはこういうポジションだよ。主役とかやらせたらダメだって。
ダメと言えば五百旗頭さん・・・ではなくオダギリさんのCMですよ!あれ見ると一瞬で気持ちが醒めるんですけど!。
でもまた五百旗頭さん見るとやっぱりカッコよくってさー、基本は宣伝なのに時々「今日は天気が良いです。亀を見ました」ってなにそれかわいいすき!!!!!!。
亀を見た五百旗頭さんを妄想するだけで幸せになれる。