黒川 博行『離れ折紙』

離れ折紙

離れ折紙

絵画や書、焼き物といった美術品・骨董品を『生業』にしている人間たちの欲望渦巻く駆け引きを描いた短編集です。作品間の繋がりは明確ではありませんが、舞台としては地続きと考えていいのだと思います。
好きな絵(画家)はあったりするし、母親が書道をやっているので書の展覧会に足を運ぶことはありますが、でもほとんど縁遠い、というか骨董収集とか金持ちの道楽ですよねーとしか思えない私ですら面白く読める。これが黒川作品の凄いところなんだよなぁ。欲とエゴ全開で“シノギ”をする人間を描かせたら天下一なのはもはや言うまでもありませんが、言ってしまえば薀蓄(余計な説明)でしかない美術方面をも読ませる。読ませてくれる。いつもながらそこに感動し尊敬する。