黒川 博行『喧嘩』

喧嘩

喧嘩

破門されたものの相変わらずというか結局最終的にはイケイケになってしまう桑原さんとなんだかんだでいつも通りいいように言いくるめられながらも桑原を楯にしてセコセコ稼ぐ二宮くんにホッとする反面やっぱり代紋のない桑原さんにはどこか物足りないというか何か欠けてるというか、いいスーツ着ていいコート着ていいもの食べてはいるもののこれまでの面子とかそういう意味ではなく文字通りの「無理してる感」は明らかで、面白いんだけどどこか悲しいという複雑な感情を抱きながら読み進めていたわけですが、そしたら!最後に!!やっぱそうでなくっちゃ!!!。
これさあ、とどのつまりは『金がモノを言う』世界なわけで、今の桑原さんにこれだけおおきなシノギをするアテがあるか?っつったらないだろう・・・ないよね・・・?と言わざるを得ない状況だったと思うわけで、そんなつもりじゃなかったにせよやっぱり二宮がネタを持ってきて二人で稼ぐわけですよ。その結果桑原さんは再び極道の世界に戻ることが出来るだろうわけですよ。いやあ、ニヤニヤしちゃうよねー(笑)。




ところで現在公開中の「破門 ふたりのヤクビョーガミ」がなかなか好評のようで、“ふたりのヤクビョーガミ”ってサブタイはもうちょっとどうにかなりませんでしたかね?(そんな軽い感じじゃねーだろよ)ってのはそれとして原作愛読者として喜ばしいわけですが、桑原と二宮の“本人たちはバディのつもり皆無だけどはたからみれば完全にバディでしかない”という設定・関係性にときめいた女子たちはぜひとも原作を読むべきだと思うよ!!。映画の原作となる「破門」で直木賞を受賞したんだけど、そのまえに4作あるんですよ。4作分の時間があっての「破門」なんです。
佐々木蔵之介横山裕という役者が演じる桑原と二宮という“キャラクター”に萌えてるだけじゃ絶対に勿体ないし、どうせ萌えるなら二人が共に乗り越えてきた死線全部ひっくるめて萌えたほうがいいに決まってるわけで、二人の“シノギのネタ”はかなり細かく専門的な描写が多いと言えば多いし、そのあいだにヤクザ用語ががしがし挟み込まれたりしてるんで読み難いというよりもとっつき難い感じはあるかもしれませんが、萌えを摂取するためならむしろ多少の困難があった方が燃えてこその女子というものじゃないですか!!。なのでみんな原作を読もう!!。