麻見 和史『ヴェサリウスの柩』

ヴェサリウスの柩

ヴェサリウスの柩

先日読んだノベルスの著者紹介にこの本のことが書かれてて、ちょっと気になったので手に取ってみました。第16回鮎川賞受賞作です。
法医学教室を舞台にしたミステリーとのことだったんで(確かノベルスにはそんな感じで書いてあった)、事件が起こって解剖しそこで何らかの疑問・疑惑が発覚し警察に助言もしくは自ら調査し解決へ・・・という“法医学教室の事件簿”的な王道パターンなんだろうなと想像していたのですが、全然違った。まず何に驚いたって警察がほとんど出てこないこと。いや、ほぼ出てこないと言っていいぐらい。確かに法医学教室が舞台だし法医学者でなくてはならない(設定の)事件だとも思うのですが、事件の鍵を握る人物のサイコっぷりが物語全体のトーンから浮きすぎていて、なんていうか・・・ちぐはぐな感じがしたかなぁ。せっかく法医学教室を舞台にしてるのに「法」関係ないよね?、というかむしろ「法」ガン無視だよね??と思ってしまった。
ミステリーのジャンルとしては“犯人あて”なので恐らくあえてのことなのでしょうが、あと一歩描き込んでくれたら人間ドラマとしても読めそうなのになーとも思った。