深木 章子『欺瞞の殺意』

欺瞞の殺意 (ミステリー・リーグ)

欺瞞の殺意 (ミステリー・リーグ)

昭和四十一年の夏、とある地方の資産家・楡家で殺人事件が発生する。先代当主の法要の席で毒を飲まされ長女と孫が死に、優秀な弁護士として見込まれ婿養子となり、先代の死により当主となった夫が犯行を認めた。それから四十数年。仮釈放となった男と楡家唯一の生き残りである次女との間で事件の真相を推理する書簡が交わされる。

という物語で、四十年以上前の殺人事件の真相について恋愛感情を抱きながらもワンマン当主の意向に従い別の相手と結婚した男女が往復書簡という形で推理合戦を繰り広げ、そしてそれは現在進行形で起きている復讐劇のための仕掛けであった・・・という趣向です。

四十年前は勿論のこと、現在の事件にも警察の“科学捜査”という要素はほぼ関与せず、このトリックを現代を舞台とする物語のなかで成立させるにはどうするか?という面で警察の隠蔽というか、大きな意味ではタイトルにある「欺瞞」ということになるのでしょうが、そういう心理に嵌め込んだところは上手いなと思うのだけど、感想としては「推理小説マニア」どんだけ優秀やねん(笑)という印象が強いw。というかそれしか残らんw。