麻見 和史『石の繭 警視庁捜査一課十一係』

石の繭 警視庁捜査一課十一係 (講談社ノベルス)

石の繭 警視庁捜査一課十一係 (講談社ノベルス)

「新米女刑事VS復讐に燃える殺人鬼」「ヤバすぎ知能犯!」と帯にある通り、殺人鬼が警察に接触(ゲームを仕掛ける)してきてどーのこーのってな話なんですが、「白熱する頭脳戦」とは到底言えないかなぁと。この手の話はまず殺人鬼にド鬼畜でもいいしアンチヒーロー的なものでもいいけどとにかく圧倒的な存在感と魅力があって、そんな相手に警察(切れ者交渉人とかクセ者刑事揃いのチームとか)が戦いを挑むってのがテンプレなんだけど、(新米)女刑事を中心にする十一係のメンバーは一見●●なものの全員実は●●だ的な感じで割とキャラ立ちしてるものの、殺人鬼がダメだー。よくダメなドラマを称して「セリフで全てを説明してしまう」と言うけどこの殺人鬼がまさにソレ。いくつ警察に貸しを与えればいいんだとか言いつつベラベラ喋るのなんのって。これまたよくあるパターンではあるんだけど殺人鬼には殺人鬼にならねばならない理由=復讐の動機があって、そこいらへんを考えるに本当は止めてもらいたいと思ってるとか本当は話しを聞いてもらいたいんだとかそういう微妙な心情なのであろうことは理解できるんだけど、それにしたってこの犯人“構ってちゃん”すぎるだろうと(笑)。
とか思いながら読んでたら主人公がまるでハリウッドのホラー映画バリのテンプレ行動取り出したし。でもここまでベタだとかえって清々しさを覚えます(笑)。
唯一驚いたってか予想外だったのは過去の事件の真相(出生の秘密)。人数が人数なんでそれなりの刑が科せられるでしょうが、それでももしかするとある程度の情状酌量がなされるのではないか・・・と思ってしまうぐらいの悲惨な真相だもんで、シリーズ化しそうな感じがあるし今後再登場の余地を残すためなのかなーとか思ったり。