楡 周平『クレイジーボーイズ』

クレイジー・ボーイズ

クレイジー・ボーイズ

環境汚染が問題視される中、変わり者の研究者がたった一人で水素自動車を普及させるための画期的な燃料タンクの開発に成功した。その特許の帰属を巡り、研究者と研究者が勤務していた会社は5年もの月日をかけ法廷で争っていたが、最高裁での判決を目前にし、現在はアメリカに住む研究者が無残な死体となって発見される。特許権を相続する権利があるのはたった一人の息子であったが、父から何も知らされていなかった息子は途方に暮れる。事件後、父の裁判を支援していた環境保護団体からコンタクトがあり事件に対する疑惑を聞かされた息子は、父の元で助手をしていた友人らとともに自らの手で父の無念を晴らすべく、真相解明へ乗り出すことに。


この著者お得意の近未来経済小説かと思いきや、タイトルにあるとおり、クレイジーなボーイズたちが結果的に日本とアメリカという二つの国を相手に喧嘩をしかけるという物語でした。肝というか最大のポイントはラストの衝撃であることは間違いなくて、読みながら違和感というかちょっとした引っ掛かりを覚えたところが読み終わってみると全部この衝撃に関することで、そこは素直にやられたなって感じなんだけど、

↓以下、ネタバレしてます

日本とアメリカの刑罰の違いってのがあるのかもしれないけど、量刑に関する会話だけはなんか納得いかないんだけど。あの年なら最悪殺人を犯したとしても、父親の敵討ちってこともあることだし、さほど長く“お勤め”することもないと考えそうなもんなんだけど。まぁ時間の長さは人それぞれの尺度によるとは思うけど、読み終わってみるとここが一番ギリギリの描写だったかなーと。